森村泰昌展・なにものかへのレクイエム−戦場の頂上の芸術−

1月か2月に友達が「今年は森村さんと古屋さんの年だよ」と言いながら写真美術館のチケットをくれた。
森村さんってしばらく見ていないな、と思いながらもなんとなく億劫だったのだが、もうじき展示が終わるので祝日だけど見に行ってきた。

先にシュウゴアーツの展示を見ているのでどんな作品かは知っていたんだけれど、見たのは小さいプリントばかりだったし、映像作品も無かったので、やっぱり見ておいた方が、ね。

写真の作品はさすがにうまい、と言う感じ。むしろ上手すぎて破綻がなく、昔の作品のように見るなりにやりとさせられるようなおかしさが無いのが物足りない。
天然の突っ込みどころが無くなっているのかもしれない。
でもさすがに大阪の人なのか、なにかおかしなものだったりパロディが写し込まれている。
じっくり見ていると「ああ、ここが突っ込みどころだったのか」と笑わせてくれる。

ああ。一つの作品に何人の森村さんが写り込んでいるかを探すのも面白いかもしれない。


映像作品は少し物足りない。
台詞が「いかにも芸術家が書いた」ような、分かりやすいピュアな主張をしていて上滑りしている感じがした。
言葉が入ることでいろいろ説明されてしまうことで一気に軽くなってしまい、スチルの作品、音の無い映像の作品とのギャップが違和感になる。
この違和感はなんだろう。上手く説明できそうなのは、森村さんが演じる芸術家がそれぞれの役を演じている、かな。
わかりやすい芸術家像と発言を演じることで、観客との距離を縮めるサービス精神なのかも知れない。

もうちょっと突き放した感じで好き勝手やっている方が、印象に残るので好み。言葉でどんどん説明されると分かった気になってしまって印象に残らない気がする。そして、もっとアナーキーな事を言っても許されるのではないだろうか。


ところで、水兵とマリリン・モンローがニューヨークの交差点で抱き合っている写真で周りにいる人が持っているプラカードはリスペクト河原温なんだろうか?